ぽれちゃんのお話この子の名前はぽれちゃん。 フェリシモのハッピートイズプロジェクトの2005年のテーマの鳥さんです。名前の由来は、スワヒリ語の「ポレ・ポレ(のんびり、ゆっくり)」。 この子を作りながら、こんなお話も生まれました。 *** ぽれちゃんは、子供の鳥。 いつも空をぼーっと見てたり、地面の虫や、木の葉の揺れるのや、花のつぼみが開くのなんかをいつまでも見ているので、ついつい飛ぶ練習をさぼりがち。なので、ほかのきょうだいや友達がみんなしっかり空を飛べるようになっても、まだ上手に飛べません。 それで、いつも空を見上げてなんとなくいいなあ、なんて思いながら、やっぱりのんびり屋さんで練習をさぼってばっかりいるのでした。 周りのきょうだいや友達の鳥たちは、そんなぽれちゃんを変わった子だなあ、なんて思いながら一緒に暮らしていました。 でも、ぽれちゃんのことを大好きなのは、空の雲。 「鳥たちは、空を飛べるようになると、私の事なんてすっかりどうでもよくなってしまうけれど、この子はいつまでも私の流れてゆくのを一生懸命見ていてくれる。かわいいなあ」 それで、雲はぽれちゃんにだけこっそり、空のことを教えてくれるのでした。ぽれちゃんは雲を見ていると、もうすぐ雨になりそうだとか、明日は暑くなりそうだとか、そんなことが不思議とよくわかるのでした。もちろんそれは、雲さんがこっそり教えてくれているからなんですけれど・・・。 ある日のこと、ぽれちゃんがいつものようにぼーっと空を見上げていると、突然耳元でささやく声がしました。 「もうすぐ竜巻が来るよ。きみのきょうだいや友達に、早く戻ってくるように言いなさい。みんなくちゃくちゃになって飛ばされてしまうよ。」 ぽれちゃんはびっくりして辺りを見回しましたが、誰もいません。 でも、ぽれちゃんは雲の形が今まで見たことのない不思議な形をしていて、なんだかこわいような、今にも泣き出しそうな形に見えたので、すぐに大きな声で叫びました。 「みんな!早く帰っておいで!何か、怖いことが起こりそうだよ・・・!!」 鳥たちは、えーっ?!という顔をしてぽれちゃんのそばに集まってきました。中には、「あんなやつの言うこと、気にすることないさ」なんて言う子もいましたけれど、やっぱりすぐに気になって戻ってきました。 それからしばらくして、本当に恐ろしい風のかたまりがやってきて、あっという間にそこら中のものをめちゃくちゃにして行ってしまいました。 ぽれちゃんをはじめ、たくさんの鳥たちは、いつも住んでいる大きな木の陰に隠れていたので、みんな無事でした。 「すごいや、ぽれちゃん。」 「ぽれちゃんは、風のこともよくわかるんだね。」 みんなはぽれちゃんに大感謝!ぽれちゃんは、ちょっぴり恥ずかしそうに空を見上げました。雲は黙ってぽれちゃんに手を振りました・・・雲の手って、どんなのか誰も見たことはないんですけれどね。 さて、それからぽれちゃんがどうなったかって? 実は、今でもやっぱりのんびりと空や地面やいろいろなものを見ながら、飛ぶ練習はさぼり気味なんですって・・・。 ジャンル別一覧
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